石垣島ゆんたくツアー 実施報告

3月24日(火)〜27日(金)石垣島ゆんたくツアーを実施しました。「ゆんたく」とは、沖縄の方言で「おしゃべり」や「団らん」を意味する言葉で石垣島の皆さんと楽しく交流することが目的の1つあることからこう名付けられました。参加者は芝浦工業大学柏高校2名、大宮国際中等教育学校4名、中央大学附属高校5名の計11名の高校生でした。

初日は羽田空港から移動し、先発隊は八重山博物館を訪問。夕方には同記念館2階ホールで石垣市公営塾の高校生と探究発表会&交流会を行いました。2日目は自由行動とし、離島見学や市内巡回などを各自で計画。3日目は川平湾のグラスボート乗船や名蔵アンパル、展望台、八重山平和祈念館を訪ね、昼食後にビーチクリーン活動を行いました。夕刻はビーチホテルサンシャインで夕日を眺めながらの食事と、ホテル内部を案内していただき光害防止の取り組みを学びました。4日目は国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター、オヤケアカハチの碑・津波大石、赤土流出対策現場、石垣市役所、ユーグレナモールなどを巡り、白保地区で白保サンゴ村を起点に避難訓練ゲームを白保学童クラブやさとうみ学童クラブの皆さんと行い、白保小学校でレクリエーションを実施した後、白保学童クラブでアオサの天ぷらなどをいただきながら交流しました。

目的・ねらい

石垣島の自然環境、歴史・文化、地域の暮らしや観光の実態に触れ、SDGsの諸目標を自分事として捉える視点を養うこと。現地の高校生や子どもたち、行政・研究機関等との対話・協働を通じ、課題の発見から解決の糸口までを探究的に学ぶこと。さらに、高校生自身が企画・運営に関わることで、主体性・協働性・実行力を育むことをねらいとしました。

当日の様子

到着初日は、八重山の歴史・文化の基礎理解を深めるために博物館を見学。その後の探究発表会&交流会では、各自の興味関心や学校での探究テーマを持ち寄り、石垣市公営塾の高校生と活発な意見交換が行われました。進行は高校生が担当し、前半の発表での緊張感から後半は和やかな雰囲気で学校生活のことなどを話す時間となりました。

3日めは、川平湾のグラスボートで海中の生態系に目を向け、名蔵アンパルの湿地や展望台で島の地形・景観と人の営みの関係を体感。八重山平和祈念館では地域の戦争の記憶とマラリア禍に関する資料に触れ、命の尊さと平和の大切さに思いを巡らせました。ビーチクリーン活動では、あっという間に用意したごみ袋がいっぱいになり、きれいに見える浜辺も外国のプラスチックごみなどが大量に漂着していることを体感しました。宿泊先では、環境に配慮した施設運営の工夫についてスタッフから説明を受け、観光と生態系保全の両立について考えました。

最終日は、国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターで研究・保全の最前線に触れ、赤土流出対策の現場を見た後、石垣市役所で観光担当の市職員の方と意見交換しました。ユーグレナモールでは地域商業のにぎわいを観察し、白保地区ではグループに分かれ、白保サンゴ村を起点に、石垣やブロック塀が壊れそうな場所を地図に記録しながら白保小学校を目指す避難訓練ゲームを行いました。プログラムの一部(運営進行・時間管理など)は生徒がツアーコンダクター役を務めました。

テーマ別の学び・活動内容

自然環境とサンゴ礁の保全

川平湾のグラスボート乗船や名蔵アンパルで、海と湿地が育む生物多様性を観察。国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターでは、研究・保全の具体的手法や、気候変動・観光との関わりを学びました。ビーチクリーンでは、見た目の美しさと実際の漂着ごみとのギャップを体感し、日常の行動変容の必要性を確認しました。

平和・歴史からの学び

八重山平和祈念館やマラリア犠牲者慰霊之碑の見学を通して、地域の歴史が現在の暮らしや防災意識に与える影響を考察。オヤケアカハチの碑や津波大石の見学は、自然災害と人の記憶、地域伝承の意義を捉える機会となりました。

地域とともにある観光・まちづくり

石垣市役所では、建物設計や公共空間づくりに見られる地域配慮の工夫を確認。宿泊施設では生態系に配慮した照明など、持続可能な観光の実践例について説明を受け、観光の利益と環境保全の両立を具体的に学びました。ユーグレナモールでは地域商業と観光の関係性を観察しました。

交流と多文化理解

大濱信泉記念館での公営塾高校生との探究交流や、白保地区での子どもたちとの避難訓練ゲームやレクリエーション等を通じて、世代や学校の枠を超えたコミュニケーションを実践。価値観や時間感覚の違いを尊重し合いながら、対話を通じて相互理解を深めました。

高校生主体の運営と探究

ツアープランやしおりの作成、進行補助、時間管理、一部の行程でのツアーコンダクター役など、運営の中心を高校生が担いました。事前の現地調整やしおりの読み込み、当日のスケジュール調整を通じ、リーダーシップと協働の実践力を高めました。

参加者の声

現地の自然に直接触れたことで、自分の将来や日々の過ごし方を見つめ直す機会になったという感想が寄せられました。都会から離れ、海や緑に身を置く時間の大切さを実感し、日常の中で自然に触れる習慣を持ちたいという前向きな声がありました。

白保地区での交流では、子どもたちと共にまちの危険箇所を意識する活動や外遊びを通して、暮らしと安全の視点を実感。年齢差が大きい場面では、運動系だけでなくボードゲーム等の多様な交流手法もあるのではという改善提案もあり、次回プログラムづくりへの示唆が得られました。

探究交流会では、地域で学ぶ同世代の姿から刺激を受け、異なる価値観や時間感覚に最初は戸惑いながらも、対話を重ねることで関係性を築けたとのこと。多文化理解の重要性を実感し、今後の探究や人間関係にも生かしたいという学びが報告されました。

宿泊施設・市役所・研究機関での学びから、環境配慮の具体策や災害への備えについて理解が深まったという声が多くありました。ビーチクリーンを通じて、見過ごされがちな小さなごみの存在に気づき、日常の行動変容こそがSDGs達成の基盤であると捉え直すきっかけになったという振り返りもありました。

一部の参加者は行程終盤の進行管理や説明役を担当し、事前に移動時間や余裕を見込んだ計画を立てたことで大きな遅延なく運営できたと報告。運営側の視点を得たことで、次は事前準備段階からさらに深く関わりたいという意欲が高まりました。

まとめ

石垣島の自然・歴史・まちづくり・交流をつなぐ本プログラムは、高校生が主体となって学びと運営の両面を回す実践の場となりました。研究機関や行政、地域の方々からの学び、同世代・子どもたちとの対話を通して、環境保全や平和の記憶、観光と暮らしの両立など、SDGsの具体性を体感的に捉えることができました。改善提案として挙がった交流手法の多様化は、次回のプログラム設計に反映したい重要な示唆です。関係機関・受け入れ先の皆さまのご協力に感謝申し上げるとともに、参加生徒が今回の経験をそれぞれの探究と日常の実践に持ち帰り、継続的な学びへとつなげていくことを期待します。