銚子洋上風力見学及びビーチクリーン活動

概要

インカレ SDGs プロジェクト合同実習報告 〜千葉県銚子市の取り組み〜

レポーター 芝浦工業大学大学院システム理工学専攻2年 上野泰聖

2023年8月3日、インカレ SDGs プロジェクト合同実習の1つとして、千葉県銚子市で銚子市における洋上風力発電事業の見学とビーチクリーン活動を行いました。今回のプログラムは、東邦大学理学部生命圏環境科学科准教授の竹内彩乃先生が企画・引率され、芝浦工業大学の学生7名、東邦大学の学生2名、芝浦工業大学柏高校の学生1名、芝浦工業大学柏中学校の学生2名の計12名の学生が参加、芝浦工業大学の中口先生も同行しました。主なスケジュールは、午前中は銚子市における洋上風力発電事業に関する講義を受け、午後はビーチクリーン活動を行うといったものでした。

銚子市漁業協同組合にて銚子市における洋上風力発電事業について説明を受けました

9時半すぎに銚子駅に集合し、バスで出発、ほどなく銚子第1漁協に着きました。三菱商事洋上風力の井手さんと銚子市漁業協同組合(以降、銚子漁協)の辻さん、洋上風力推進室の大塚さん、間淵さんが待っていてくださり、銚子市における洋上風力発電事業に関する講義をしていただきました。

洋上風力の講義の様子

洋上風力ってどういった仕組かとても分かりやすかったです!

ご丁寧な説明により、洋上風力発電とはどういったものか、浮体式と着床式の違いは、どういったものか、エネルギー分野に対する専門知識がない中学生、高校生もしっかりと理解できていました。洋上風力の仕組みだけでなく、漁業への影響、船舶の航行、景観など様々な面に配慮する必要があることもご説明いただきました。多くの関係者と合意形成を図らなければならないこととともに、単に自然エネルギーを供給するためだけでなく、住民生活や経済活性化などさまざまな視点で検討しなければならないと感じました。

東京電力所有の実証機

2028年までにはこの周辺に31本の風車がたち、28万世帯分の電力がまかなえるそうです。

長崎海岸でビーチクリーン活動

この日は風が強かったので、途中、コンビニで弁当を買って、銚子マリーナ海水浴場の前のバスを止め車中でそれを食べてから、すぐそばにある銚子海洋研究所に行きました。ここで、イルカ・クジラウォッチングで生計を立てながらビーチクリーン活動をしている銚子海洋研究所の代表の宮内さんほかスタッフの皆さんと合流しました。まず研究所の前でかんたんな説明を受け、バスで長崎海岸に移動して、そこでビーチクリーン活動を行いました。

銚子海洋研究所の前にて 日差しが暑かったです(^_^;)

残念ながら悪天候により、船に乗って海上のごみを拾うオーシャンクリーン活動はできませんでしたので、海岸でのごみ拾いのみになりました。また船の上からで風車を近くで見れなくて残念でした。海岸は、潮が引いていてあらわになっていたのですが、一見、目立つような大きなごみは見受けられず、日頃からビーチクリーン活動を行っている成果が出ているのではと感じました。一方で、岩場の隙間には空き缶がいくつも挟まっており、原形が分からないプラスチック片も多く見受けられました。こういったごみに生き物がからまったり食べたりして死んでしまうなど、海洋生物の生息環境は悪化してしまいます。海洋環境をどのように守っていけば良いのか、改めて考えさせられるとともに、微力ではありますがその解決に貢献できよかったと感じています。

ビーチクリーン活動の様子 日差しは暑いが海風は涼しかった

ビーチクリーン活動後には、宮内さんから、海洋環境の改善のためにどのようなことをとり組まれているのかを聞きしました。また、これから建設予定の洋上風力発電に関して、海洋生物にはどのような影響が予測されるのか、地域住民の心境はどうなのか、地域住民の生の声をお伺いしました。

海洋ゴミ回収プロジェクトのご説明 海洋生物への影響にショックを受けました

銚子海洋研究所での集合写真 貴重な経験をありがとうございました。 

犬吠テラスラス

ビーチクリーン活動終了後は犬吠埼テラスに立ち寄り、地域の特産品をお土産に購入したり、美しい眺めを楽しみました。

犬吠テラステラス 

関東有数のドライブスポット!! 辺り一面の絶景!!

銚子ではなぜ漁協さんが洋上風力発電を推進しているのか?

銚子漁協でも聞いた話でしたが、漁業者さんは最初洋上風力建設には大反対で、宮内さんのように海の観光で生計を立てている人たちも影響を受けてしまいます。しかし、一基建てて実験してみると、風車の基礎が魚礁になって魚のエサとなる藻が付いたり、電気を陸上まで運ぶ海底ケーブルで潮目ができたりして魚が集まるようになり、それを追ってイルカが集まったり、風車を見る観光ツアーを新たに企画できる可能性があるなど、銚子沖は風車を立てると漁業や観光に良い影響もある場所であることがわかり、実験が終わったら撤去するはずだったのが逆に増やすことになったそうです。

銚子漁協さんが風力発電建設になぜかかわっているのか、宮内さんの海洋生物保全に関する話を聴いて謎が解けました。

参加者からは次のような感想が寄せられました。中学生からは、「漁業や環境を守りながらも建設を進めてもらいたい、地域活性化につながるなど実際に会わなければ分からなかった地元の方々の意見はとても新鮮でしたし、事業者である三菱商事さんからは風力発電に関する知識をたくさん教えていただきました」「海岸でのゴミ収集ではとにかくその量に驚かされました。海にはたくさんのごみがある、聞いてはいましたが完全に自分の甘い考えを覆された気がします。」

高校生からは「海岸清掃もやってみたいと思いながらも今までできていなかったので貴重な体験をさせてもらえて良かったです」「最初に考えられていた目的(今回は発電)だけでは、それに悪影響をもらうかもしれない人たちにとって、不安材料でしかなく、納得してもらいにくいという現状を痛感しました。そのうえで、納得してもらうためには、事業に伴う副産物が大事になってくることをよく学びました。」

大学生からは「ビーチクリーンを行い海岸で実際にゴミを拾いながらお話を伺ったところ、沖にはもっとゴミがある可能性があり、その出所は私たちの日常生活から出されているものだという意識・認識がより強まりました。」「今回の見学会で最も印象に残った事は、銚子漁協関係者が今回のプロジェクトに肯定的な意見が多いことです。特に、これまでの時代的な背景において2度政府のプロジェクトを断っている事があるというお話は非常に貴重なお話だと感じました。再生可能エネルギー導入が地域の町興しに繋がっている事を改めて知ることができ良かったです。」といった感想が寄せられました。

最後に

銚子市漁業協同組合様、三菱商事洋上風力様、銚子海洋研究所様、引率していただいた、中口先生、竹内先生には大変お世話になりました。環境エネルギー分野を学ぶ大学生にとっては、自分自身の専門分野に関する知識を深めることができ、自分は何に貢献できるのか考えさせられる良い機会となりました。また、中高生にとっては将来何をしたいのか、どういった仕事をしたいのか漠然としたものを持つ中で、これからの人生の選択に役立つものとなったと思います。お忙しい中、本当にありがとうございました。

参考ページ

銚子沖洋上風力発電の概要説明

https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/yojo_furyoku/dl/kyougi/chiba_syoshi/04_docs05.pdf

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA